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クビ-最終回 [創作]

今までの話

-キョーコの憂鬱-


月日が過ぎた。


キョーコは、箱を埋めた場所に魔よけのため小さな柊を植えた。


姉のショーコは、好きでもない男と結婚して、さっさとこの家から出て行った。

キョーコは、キョーコは時々庭から男の声がするような気がすることにも慣れてきた。


「Xの命日だね」

すべての人に忘れられても、キョーコは大嫌いな”Xの墓”を守り続けていた。


一度だけ警察がXのことで会社に来たが、特にキョーコに何か聴くわけでもなかった。
Xが亡くなった、または失踪したことについての聞き込みなのだろうが、
それが殺人事件なのか、バラバラ死体なのか、単なる駆け落ちなのか
部下だったキョーコたちには何の情報もなかった。


Xの6番目の妻のケイコが手続きのために会社にやってきた。
全く悲しそうではなく、むしろせいせいしたという表情だ。
きっと退職金をもらえたのだろう。
キョーコは、妻がXのことを持て余していたに違いないと思った。


キョーコは会社を辞めようと思った。
辞めて何をしようというあてもないけれど、
もう、いろんなストレスでいっぱいいっぱいだった。

その日の仕事を終えた後、上司に辞表を渡した。

特に理由もないんだったら考え直すように言われた。
疲れたのなら、しばらく休んでもいいとも言われた。

その場は、2、3日休んで考えますと答えて、うちに帰った。


家に着くまで我慢していたけれど、玄関に入った途端、涙が止まらなくなり、
声を出して泣いた。

声がかれるまで泣いた。




ピンポン
チャイムが鳴った。

今は出たくない。
人に会える顔をしていない。


ピンポン、ピンポン

しつこくチャイムが鳴る。



仕方なくドアを開けた。
涙をぬぐって、顔をふいてから・・・


「・・・」



そこにはXが立っていた。



「俺のせいで、ゴメンな、キョーコ」


THE END
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kyao

なかなかオンラインに来れなかった間に、完結しているとは…しくしく。
それにしても…、うーむ、そうきたか(笑)。ささっと読めるのに、ストーリーに深みがあってとても楽しめました。機会がありましたら、新作もぜひ。(^^;
by kyao (2010-05-03 06:26) 

りんたろ

駄文、最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m
頸椎を痛めたので「クビ」、次は歯茎に住む(寄生する)妖精を主人公にしようかとも思いましたが、おかげさまで歯科は本日で治療終了しましたので、やっぱりやめておきます。
ラブストーリーも、リアルがキツイ状態なので書き辛いですし、
また考えてみますね(^^ゞ
by りんたろ (2010-05-15 18:58) 

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