クビ-4 [創作]
今までの話
クビ-1
クビ-2
クビ-3
-御裾分け-
キョーコとショーコが大騒ぎしている頃、Xの最初の妻に荷物が届いた。
”あなたの希望に基づき、X氏の殺害を行いました。礼には及びません。
死体の処理は当方で行いましたが、右腕だけはご自分で管理をお願い致します。
つきましては、下記の住所にて安全かつ低料金での処分を請け負っておりますので、
ご参考いただければと存じます。
なお、振込用紙を同封いたしますので、ご利用の場合には振込によるお支払いをお願い致します。”
最初の妻は荷物を開けた。
同じ頃、Xの2番目の妻にも荷物が届いた。
”あなたの希望に基づき、X氏の殺害を行いました。礼には及びません。
死体の処理は当方で行いましたが、耳だけはご自分で管理をお願い致します。
つきましては、下記の住所にて安全かつ低料金での処分を請け負っておりますので、
ご参考いただければと存じます。
なお、振込用紙を同封いたしますので、ご利用の場合には振込によるお支払いをお願い致します。”
3番目の妻にも、4番目の妻にも荷物が届いた。
”あなたの希望に基づき、X氏の殺害を行いました。礼には及びません。
死体の処理は当方で行いましたが、目だけはご自分で管理をお願い致します。
つきましては、下記の住所にて安全かつ低料金での処分を請け負っておりますので、
ご参考いただければと存じます。
なお、振込用紙を同封いたしますので、ご利用の場合には振込によるお支払いをお願い致します。”
5番目の妻が箱を開けた。
ジュエリー、その価値がいくらぐらいのものかはわからないけれど、
箱の中は輝きで満ちていた。
「大したものね。相変わらずのいたずらだわ。
何が死体よ」
5番目の妻はうれしそうにジュエリーを眺めていた。
-そして6番目の妻-
数日後のある日、キョーコが出勤すると、総務部の方で喚き声が聞こえた。
「何で、あの人は私が妻だと届けていないの?」
「ご本人から奥様がいらっしゃるという届が出ていない以上、
証明に必要な書類を揃えていただくことになります。
でも、まだ亡くなったと決まったわけではありませんし、
奇抜な方でしたから、ひょこっと出てくるかもしれないじゃないですか。
失礼ですが、ご本人の意思で無断欠勤がこれだけ長く続くということでしたら、
懲戒解雇ですから、退職金の対象にはなりません。
ご心配だとは思いますが、連絡を取り合うということで、
今日のところはお引き取りいただけませんか」
「退職金はいくらになるの?長く勤めていたんだから、1000万円はあるわよね?」
「今の段階でそのようなことは・・・」
Xの6番目の妻は引き下がらなかった。
キョーコはじっと聞いていたが、始業時間に間に合わなくなりそうだったので、
慌てて自分の席に向かった。
つづく
クビ-1
クビ-2
クビ-3
-御裾分け-
キョーコとショーコが大騒ぎしている頃、Xの最初の妻に荷物が届いた。
”あなたの希望に基づき、X氏の殺害を行いました。礼には及びません。
死体の処理は当方で行いましたが、右腕だけはご自分で管理をお願い致します。
つきましては、下記の住所にて安全かつ低料金での処分を請け負っておりますので、
ご参考いただければと存じます。
なお、振込用紙を同封いたしますので、ご利用の場合には振込によるお支払いをお願い致します。”
最初の妻は荷物を開けた。
同じ頃、Xの2番目の妻にも荷物が届いた。
”あなたの希望に基づき、X氏の殺害を行いました。礼には及びません。
死体の処理は当方で行いましたが、耳だけはご自分で管理をお願い致します。
つきましては、下記の住所にて安全かつ低料金での処分を請け負っておりますので、
ご参考いただければと存じます。
なお、振込用紙を同封いたしますので、ご利用の場合には振込によるお支払いをお願い致します。”
3番目の妻にも、4番目の妻にも荷物が届いた。
”あなたの希望に基づき、X氏の殺害を行いました。礼には及びません。
死体の処理は当方で行いましたが、目だけはご自分で管理をお願い致します。
つきましては、下記の住所にて安全かつ低料金での処分を請け負っておりますので、
ご参考いただければと存じます。
なお、振込用紙を同封いたしますので、ご利用の場合には振込によるお支払いをお願い致します。”
5番目の妻が箱を開けた。
ジュエリー、その価値がいくらぐらいのものかはわからないけれど、
箱の中は輝きで満ちていた。
「大したものね。相変わらずのいたずらだわ。
何が死体よ」
5番目の妻はうれしそうにジュエリーを眺めていた。
-そして6番目の妻-
数日後のある日、キョーコが出勤すると、総務部の方で喚き声が聞こえた。
「何で、あの人は私が妻だと届けていないの?」
「ご本人から奥様がいらっしゃるという届が出ていない以上、
証明に必要な書類を揃えていただくことになります。
でも、まだ亡くなったと決まったわけではありませんし、
奇抜な方でしたから、ひょこっと出てくるかもしれないじゃないですか。
失礼ですが、ご本人の意思で無断欠勤がこれだけ長く続くということでしたら、
懲戒解雇ですから、退職金の対象にはなりません。
ご心配だとは思いますが、連絡を取り合うということで、
今日のところはお引き取りいただけませんか」
「退職金はいくらになるの?長く勤めていたんだから、1000万円はあるわよね?」
「今の段階でそのようなことは・・・」
Xの6番目の妻は引き下がらなかった。
キョーコはじっと聞いていたが、始業時間に間に合わなくなりそうだったので、
慌てて自分の席に向かった。
つづく
そろそろ架橋か…と思っていたら、なにやら新たな展開が(笑)。(^^)
このお話がどう収拾していくのか…それを思うだけでワクワクしてます。(^^)
by kyao (2010-04-30 11:26)
次は火曜サスペンス風に^_^;
by りんたろ (2010-04-30 22:49)