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クビ・・・(あなたならどうする) [創作]

-差出人不明の荷物-

「ああ、むかつく」
キョーコは会社から帰ってくるなり冷蔵庫に直行し、缶ビールを一気に飲み干した。

「どうしたの、荒れてるわね」
姉のショーコがキョーコの顔を覗き込んだ。

「X課長よ。会社なんかもう辞めちゃおうかな」

「また、X課長の話?今度は何?セクハラ?彼、バツ5なんでしょ?」

「バツ5ってないよね。少なくとも物好きが5人もいたってことだよ。セクハラはないね、私、嫌われてるから。
アイツ、きっとそのうち刺し殺されるよ」

「物騒だわね。酔った勢いであなたがやっちゃったなんて、ヤダよ」

「あんな奴のせいで、殺人犯なんかになりたくありません」

ピンポーン、その時、チャイムが鳴った。
ショーコが出た。

「荷物、キョーコ宛てだよ。メロンかしら。クールで来てるよ。
あれ、差出人不明だ。受け取ってよかったのかしら?」

「何だろ」

大きな発泡スチロールの箱を開けると、その中にまた箱が入っていた。
中の箱の上に封筒が乗っかっている。
ショーコが勝手に封筒を開けて、中の手紙を読み始めた。

”あなたの希望に基づき、X氏の殺害を行いました。礼には及びません。
死体の処理は当方で行いましたが、首だけはご自分で管理をお願い致します。
つきましては、下記の住所にて安全かつ低料金での処分を請け負っておりますので、
ご参考いただければと存じます。
なお、振込用紙を同封いたしますので、ご利用の場合には振込によるお支払いをお願い致します。”

ショーコはキョーコに向き直って言った。
「10万円だって」

高っ!
つか、殺人頼んでない。つか、この荷物はXの死体のクビなの?
キョーコはパニックに陥ってしまった。

「誰かのいたずらでしょ?きっとメロンだよ。箱あけてご覧よ」
ショーコは極めて冷静だ。

「お姉ちゃん、開けてよ」

「自分で開ければいいじゃん」

「やだ」

「私もヤダよ。メロンは冷やした方がおいしいから、冷蔵庫に入れとこか?」

クビを冷蔵庫に?しかもX課長のクビ!
食べ物と一緒にXだよ。ないな!
キョーコの頭の中は大混乱状態だった。

「だから、メロンだってば」
ショーコはひきつりながら笑っていた。

ショーコだって疑っているんだ。
メロンじゃなくてクビだとしても、とりあえず冷やした方が良さそうだ。

二人で話し合った結果、
今日のところは、クビまたはメロンを冷蔵庫に入れ、
明日会社に行ってみて、
X課長が出社しているかどうかを確認してから箱を開けることにした。
二人が夕飯を諦めたのは言うまでもない。

さっさと警察に届ければ良かったのにね。。。

続く
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コメント 2

kyao

面白い!(^^)
ときどきフジテレビ系で放送する「世にも奇妙な…」テイストな感じが、私の好奇心をガンガン揺さぶります。(^^)
早く続きを!(爆) (^^)
by kyao (2010-04-17 07:56) 

りんたろ

ありがとうございます(^^ゞ
中身はメロンにしよかな、クビにしよかなw
by りんたろ (2010-04-17 21:33) 

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